研究室の一部を紹介します。

NMR/NQRスペクトロメータ1

ダブルへテロダイン方式のスペクトロメータです。周波数範囲1~400MHzでNMR/NQR測定が可能です(パワーアンプはそこまで広帯域ではないので交換が必要ですが)。本機種は市販されている装置や業者に作成してもらった装置の組み合わせにより構成されています。比較的一般的な装置だと思います。

NMR/NQRスペクトロメータ2

周波数範囲1~400MHzでNMR/NQR測定が可能なスペクトロメータです(パワーアンプはそこまで広帯域ではないので交換が必要ですが)。本機種は一般に市販されている物です(発注時に注文は出していますが)。さすがメーカー品と言うべきか、firstIFを1.5GHzあたりの結構高い周波数まで持ち上げてその後に40MHzに戻すので、スプリアスが少ないです。ハードウェア性能に文句は無いのですが、装置のブラックボックス化が進むことにより、教育上はあまりよくありません。

NMR/NQRスペクトロメータ3

周波数範囲5~500MHzでNMR/NQR測定が可能なダブルへテロダイン方式のスペクトロメータです(パワーアンプはそこまで広帯域ではないので交換が必要です)。本機種はSGやQPSK、狭帯域レシーバーが有ったので、残りの部分を自作して作りました。気が向いたら中身の説明もどこかに書きたいと思います。改良したい点はいくつかありますが、装置の性能は上記二機種と比べてもそんなに悪くないです。教育上の観点から、あまりコンパクトにまとめず、配線はなるべく前面に出すようにしています。

ネットワークアナライザ

高周波回路やデバイスの高周波特性(インピーダンスなど)を評価することができ、高周波回路の作成・評価には欠かすことのできない機器です。測定可能範囲は300kHz~1.3GHz。研究室では主にNMRプローブの共振条件を調べることに使用しています。
NMR測定をする上で十分な周波数帯域と速度があり、それでいて、某大手電子計測器メーカーの機種と比べて半額以下ですので、ネットアナ高い問題を抱えている方にとって非常にお勧めです。
機種の詳細はここで、日本の代理店はここです。

9T超伝導マグネットとクライオスタット

超伝導線でできたソレノイドコイルを液体ヘリウムで冷却することにより、最大で9T(テスラ)の磁場を発生することができます。また、広い温度範囲(1.4~300K(-271~27℃))でNMR/NQR測定を行うことができます。
装備している可変温度インサート(VTI)のサンプルスペースは30mmです。通常の測定には問題ありませんが、下記の希釈冷凍機を組み合わせることはできません。今後何とかしたいと考えています。

液体ヘリウム減圧装置
(スクロールポンプとマノスタット)

1気圧の液体ヘリウムは4.2Kですが、真空ポンプで減圧することにより、低温にすることができます。研究室では真空ポンプの一つであるスクロールポンプを用いて液体ヘリウムの減圧を行っています。
スクロールポンプはドライポンプの一種で、油を使用しません。よって、ヘリウム回収ラインに余計な油をはき出すことがありません。ただ、このスクロールポンプは短い運転時間でのメンテナンスが必要な様なので、コスト面で心配です。
マノスタットはサンプルスペースの圧力調整装置で、4.2K以下での温度コントロールに使用します。あまり部品代を考えず設計した1号機なので、作成費が結構かかりました。その割に、使い勝手は少し悪いです(性能には問題ないです)。

ゼロ磁場測定用クライオスタット

ゼロ磁場で物性測定をするためのクライオスタットです。研究室ではNQR測定に使用しますが、プローブなどを用意すれば電気抵抗などのバルク測定に用いることも可能です。上記の液体ヘリウム減圧装置と同じ物が装備されているので、この装置を用いて1.4~300Kの温度範囲で測定を行うことが可能です。
下記の希釈冷凍機を使用する事により、約0.1KまでのNQR測定が可能になります。

μ-dilution 小型希釈冷凍機

3He-4He希釈冷凍法を用いた冷却装置で本装置は約0.1Kまで冷やすことが出来ます。圧力セルを搭載することが可能で、「低温×高圧」でのゼロ磁場NMRやNQR測定に用いています。 この温度領域まで冷やしてNMR/NQR測定が出来る研究室は九州/沖縄地区だとほとんど無いと思います。 上述したマグネットボアの問題が解決すれば、超伝導マグネットにも装着可能で、そうすると「高磁場×低温×高圧」でのNMR/NQR測定が可能となります。

1Kと0.1Kではそんなに変わらないと思った方へ:
1Kと10K、または10Kと100Kでもたいした違いが無いと思いますか?
1Kと0.1Kの間にも同じ違いがあるのです!